■公立劇場と民間劇場の個性について1.

 杉山準<演劇プロデューサー>

 この頃京都では従来からの公立劇場の公演事業に加え、京都芸術センターが演劇やダンスの公演事業を始めたり、アートコンプレックス1928がロングラン事業をおこなったり、京都造形芸術大学が学内のホールで芸術性の高い催しを行ったり、と公民のそれぞれの劇場で舞台芸術に関して新たな展開が生まれてきている。劇場のプロデュース機能が重要視され、劇場の個性がはっきりする時代が京都にもやって来たのだ。
 2000年にパリに滞在する機会を得て、そこの劇場をいろいろ見て歩いて劇場の「個性」を強く感じた。そこでは大雑把に分類すると先鋭的なもの、芸術的な作品は公立劇場で、コメディーやスターが出ているような作品が民間劇場で上演されていた。大学内の劇場で国外の作品ばかり上演する劇場もあった。貸し小屋中心の日本と違い、ヨーロッパのように基本的に劇場がプロデュースする仕組みの場合、特に民間劇場は観客が入らないと運営は立ち行かないので、動員の見込める「大衆性のあるもの」を上演し、財政的に余裕のある公立劇場が「芸術性の高いもの」を上演するという傾向は自然の成りゆきのように思われた。
 この頃我が国でも、公立劇場での自主企画が活発化しているが、民間劇場からすると、財政的に有利な公立劇場が民間劇場の領分を侵す危惧も覚えている。公立劇場の活性化は喜ばしいが、それによる民業圧迫はなんとかしなければいけない問題と思っている。(次号に続く)

P.A.N.通信 Vol.46 掲載