ゲスト: 上田 誠 (脚本・演出家)

   聞き手: 小原 啓渡

上田 誠 プロフィール
'79年11月4日生まれ、京都府出身。学園祭のクラス劇をきっかけに劇作を始める。
'98年大学入学とともに同志社小劇場に入団。音響を務めつつ、同年、劇団内ユニットとしてヨーロッパ企画を旗揚げ。
'00年、同志社小劇場を退団、「ヨーロッパ企画」として正式に独立。ヨーロッパ企画の全作品の作・演出・音響を手がける。
また、TV、ラジオ他各メディアの構成作家としても活動中。

「創造とは何か」をテーマに、毎回様々なジャンルで活躍されているアーティストの方々にお話を伺っています。今回は、シチュエーション・コメディで人気を博しているヨーロッパ企画の作・演出家であります上田 誠さんにお話を伺いました。

小原
単刀直入にお伺いします。創造とは?

上田
楽しみを見い出すというか、面白さを見い出すという事ですかね。特に、最近よく思うのが、消費の仕方にもクリエイティブさがかなり重要なんではないかと。楽しむという事はある意味消費につながるところがあるのではないかと思うんです。僕ら、ヨーロッパ企画がいつも心掛けている事があって、とにかく面白いものを創るというよりは、その過程も含めて、楽しむという事なんです。すでにあるような普段の遊びで楽しむよりも、まあそれも好きなんですけど、実際自分達でものを創ってゆく過程を楽しむような。最近、テレビって、テロップとかで説明過多になってきたりして、ボーって見てるだけで、受け身というか、クリエイティビティがなくてもそれなりに楽しめるつくりになってると思うんですね。けれど、楽しみや面白さを見出すというのは、例えば街の人とか看板とかを見ていても、失礼かもしれないですけど、面白さを見い出す見方があると思うんです。楽しみ方をこっちで考えるというか。なのに受け身では面白さを見出せなかったりする。そこに楽しみ方を教えてあげるという様な、面白がり方の間口を広げてあげる様な作業を、作り手側が提示する必要があるのではないか。つまり、作り手側だけじゃなくて、みんなの、世の中全体のクリエイティビティが上がればもっといろんなものが楽しくなるんじゃないかと。大きい話になりますけどその辺の事ですね。

小原
楽しみを見い出す方法は?

上田
一つの芝居を創った時、観る側にクリエイティビティがあれば能動的に楽しんでもらえると思います。けれど創り手側として、観る側にガイダンスや能書きというような事を提供するのもまた必要なんじゃないかなと思うんです。例えば、ライブで、ミュージシャンの方が、これこれこうやって作った曲ですっていうだけでも楽しみ方が広がるじゃないですか。創り手側にとって芝居を、ただ提示するだけじゃなくて、こういう楽しみ方して下さいって、楽しみ方を教えてあげるという事がわりと重要なんじゃないかと。見落とされがちな面白いものにスポット当てて、ピックアップしていければなーと。結構沢山あるなって。そういったものを、掘り起こしていくような切り口の劇団もあまりないですから。

小原
御自身はどういう事を楽しいと思いますか?

上田
昔から、表現することで、人を楽しませたり、喜ばせたりするのが楽しい。ただ、自分の趣向もあるので、相手に合わせるのではなくて、好きな題材を説明、解釈して、そこで表現して楽しむ。例えば、ドロドロした人間関係の機微より、ゲームなど理系的なものを好んで楽しんだり。でもさらに、舞台にのせる際は、ヨーロッパ企画のイメージがあったり、僕が好きでも他の人の方がうまいだろうなという部分は避けたりします。お金も頂いてやっていますし、自分のこれならいけるという所を選びますね。いろんな事が好きなので、それを全部還元できればいいですね。伝えたい事とか問題意識があまり無いので、楽しんだ者勝ちみたいな。

小原
テクニック的なものは?

上田
自分なりの発想はもちろんですけど、研究はよくします。例えば、今回タイムマシーンの話では、どんなタイムマシーンの仕掛けがあるかとか、本はすごく読むんですよね。いつも大体30冊くらいは読みます。被ってないかチェックする為もありますし、自信のあるものを確信する為だったり、テーマに関わらず読んだりもします。資料的に使う場合が多いですね。なので、いきなり思い付くのではなくて、詰め込んだ上、連想的に思い付く事が多いですね。毎回書く時に時間はすごくかけます。演劇は蓋を開けてみないと分からないものなんですけど、見せるからには完成度、面白いものを創らなければと。誠意というか責任といった部分かもしれないですね。

小原
本日はありがとうございました。

P.A.N.通信 Vol.46 掲載