
ゲスト: 近藤良平( 振付家・ダンサー)
聞き手: 小原 啓渡
近藤良平(こんどうりょうへい) プロフィール
ペルー、チリ、アルゼンチン育ち。
1994年、山崎広太作品「infrection」にメインダンサーとして抜擢され、バニョレ国際振付家コンクール本選に出場。以後、現在に至るまで山崎広太のほぼ全作品にメインダンサーとして出演。その傍ら、木佐貫邦子、竹内登志子、能美健志、Nomade~sなどの作品にもメインダンサーとして出演。あまたの振付家の海外公演にも出演しており国際的な評価も高い。振付家としては93年以降、毎年振付作品を発表。フジTV「ポンキッキーズサマーコンサート95」の振付、映画俳優ジョンローンの舞台公演にも携わっている。特異なキャラクターを活かし多方面に渡り豪胆無双の活躍をする、現在最も注目されている振付家、そしてダンサー、それが近藤良平である。「創造とは何か」をテーマに、様々なジャンルで活躍されているアーティストの方々にお話を伺っています。今回は、結成以来破竹の勢いでばく進し、2001年3月にはアメリカ公演ツアーも決定している異色のダンスカンパニー「コンドルズ」の振付家・近藤良平さんにお話を伺いました。
小原
東京のグローブ座で近藤さんの作品を初めてみた時、非常に自由な感覚というか、既成の概念や一般的な評価基準にとらわれない強い独創性を感じました。あなたにとって創造とは何なのかざっくばらんにお聞かせ下さい。近藤
既成するもの、決まり事はどっちゃでも良いという心持ちでして、文化的なことにルールは無いと思います。
正直そんな世界がいまは素晴らしいと思い、ルールがあるような無いようなぎりぎりな線でコンドルズを起動しています。
みなも知っての通り、コンドルズの面々を線路の上におくことは不可能ですが、創造の膿みたいなのはいつもびろびろと皆でてきます。これがいまはおもしろいのです。小原
コンドルズではメンバーの様々な才能が絡み合って、絶妙なコンビネーションが創り出されていますが、近藤さん自身のモノ創りに関する原体験の様なものがあればお聞かせ下さい。近藤
創造などと問われても、ん〜、まだ口走るのは10年早い気もします。まあ小、中学生の頃はサッカーに没頭していた訳で、あの頃が記憶するなかで最初の創造していた時期だった気がします。僕は左のウイングというポジションでして、左ラインをぐっと攻め込んでセンターリングをあげるというのが役割でした。これを組み立てるのがめちゃくちゃに興奮の日々でした。人を抜く(フェイント)ことや、ゴール近くにフアッとあげるボールを創造するわけで、実際グラウンドを走り回ることで、より美しくシュートまで導くことができるのです。創造の勝利で一点をもぎとり、授業中にガッツポーズをとるのです。
それからやたらと楽器好きなのですが、その昔は大嫌いでした。
というのもピアノをすこしかじりはじめた頃は、ピアノの教則本通りに弾かないとだめというピアノ教育の世界があり、こんなの全然弾けんと嘆いていました。が自分の楽器を持つ頃になり今のストリートの人達のように好きに弾いて好きにさわいでいいと判ったとき、それはそれは頭のなかにぐわっと創造が広がりました。
今では何かが増してギターの弦がびよ〜んとなるだけで女子高生にまけず、けたけたと面白くてたまりません。
まあ若干大人にもなり、それは現在コンドルズという形式をとって、何も躊躇せず、舞台上にのせています。メンバーの勝山も言っていましたが、自宅はいつも散らかってまして、それは小さな牛の人形だったり、絵葉書だったりと、それらの向こう側に創造が広がっています。
今年、ニューヨークでの公演があちらで大絶賛されましたよね。近藤さんは南米で幼少期を送られたわけですし、海外のアーティストと共演するといったことも多いいと思います。そのあたりの経験も含めて日本と海外の創造に関する考え方に何らかの違いを感じたことはありませんか?海外をひとくくりにはできないのですが、どんな創造物であろうとそれを見守っていこうという心の余裕のようなものは海外のほうがあるのかな。
今年の2月に一緒したフランスの音楽家パスカル・コムラードはすんばらしい創造者でした。
彼の持つ音楽スタイルは嘘がなく、生活そのものであって、そんな彼の姿には静かな誇りさえ感じました。
我々となにが違うかはわからんが、そんな人になりたいものだと素直におもうのです。小原
最近何か創作に関連したもので心に残ったものがありますか?近藤
つい先日サルティンバンゴを観たのですがいたく感動しました。ストレートな「みせる創造」を感じます。それには夢があります。少しかこつけて言うならば、創造する中に心をいたくふるわす夢があればそれがいいです。それがある限り創り出す力になります。
あと、吉田拓郎の<イメージの詩>というのがあってこれは全くそういう心の詩なのです。ステキです。小原
今年、12月15日/16日、アートコンプレックス1928でのコンドルズ今世紀最後の公演、期待しています!有難うございました。P.A.N.通信 Vol.32 掲載